がんばってきたのに、これからが見えない

ある夜、ふと鏡を見たときに思った。
「このまま、この仕事を続けていくんだろうか」って。

仕事にも慣れたし、生活も落ち着いている。
でも、心のどこかで“これでいいのかな”という小さな不安が、
じわじわと膨らんでいく。

わたし

特別つらいわけじゃないけど、
毎日が淡々としていて、未来にワクワクできない。

「この先どうしたい？」と自分に聞かれても、
何も答えが出てこなかった。

立ち止まった夜、誰かに話してみたくなった

そんな気持ちをどうにかしたくて、
いつものように電話で占い師さんに話を聞いてもらった。

占い師さん

ななえさん、今は“動くとき”ではなく“感じるとき”ですね。
焦って答えを出さなくても大丈夫。
未来は“決めるもの”じゃなくて、“作っていくもの”なんですよ。

わたし

“作っていく”……なんだか、少し肩の力が抜けますね。
答えがないのも、悪いことじゃないんですね。

占い師さん

そうですよ。
見えない時期は、心を整えるための“静かな準備期間”です。
何もしていないようで、ちゃんと前に進んでいますから。

その言葉を聞いた瞬間、
モヤモヤしていた霧の中に、かすかな光が差した気がした。

占いが終わったあと、少しだけ外に出て夜風にあたった。
空は真っ暗なのに、不思議と怖くなかった。
「何も見えない」ことが、少し安心に変わっていた。

わたし

焦って動かなくてもいい。
いまは“立ち止まる力”を育てている時期なんだ。

これまで、常に「答え」を探してきたけれど、
時には“わからないままでも大丈夫”な夜があってもいい。
その余白の中にこそ、
新しい自分の可能性が芽生えている気がする。

未来が見えない夜は、
心が静かに次のページをめくろうとしているサイン。
焦らず、比べず、いまを丁寧に感じていれば、
ちゃんと道は見えてくる。