比べるつもりなんてなかったのに、苦しくなる夜

同僚が課長に昇進したと聞いた日のこと。
「おめでとう」と笑顔で言いながら、
胸の奥がじんわりと痛んだ。

わたしは、いつになったら…？
そんな気持ちが、頭のどこかで小さくつぶやく。

SNSでは、同年代の友達が家を買ったり、
キャリアアップしたり、家庭を持ったり。
誰かの人生が眩しく見える夜は、
自分の人生だけ取り残されているような気がしてしまう。

わたし

別に競争したいわけじゃないのに。
なんでこんなに、比べて苦しくなるんだろう…。

苦しい気持ちを抱えたまま、電話をかけた

落ち込んだ気持ちを抱えたまま眠るのがつらくて、
いつものように電話で話を聞いてもらった。

声を聞いた瞬間、張りつめていた糸がゆっくりほどけていく。

占い師さん

ななえさん、今日は心がだいぶ疲れてますね。
比べる気持ちは悪いことじゃありませんよ。
むしろ、成長したいという気持ちの裏返しです。

わたし

比べるたびに、自分のダメな部分ばかり見えてきて…。
もっと頑張らなきゃって焦ってしまって。

占い師さん

焦らなくて大丈夫。
人生のスピードは人それぞれ。
ななえさんは、“ゆっくりだけど確実に積み上げているタイプ”ですよ。

その言葉に、スッと胸が温かくなった。
「わたしはわたしでいいんだ」と、少しだけ思えた。

話しているうちに、
「比べるたびに落ち込む」わけじゃなく、
“落ち込むほど頑張ってきた自分”がちゃんといたことに気づいた。

わたし

たしかに、少しずつだけど、
わたしなりに積み上げてきたものはあるかもしれない。

占い師さん

そうですよ。
人と比べるより、自分の心がどう感じているかを大切にしてください。
ゆっくり進む人には、ゆっくりだからこそ見える景色があります。

その言葉が心にやさしく染みていった。
誰かに追いつくためじゃなく、
“わたしの人生を心地よく進めるため”に働いているはずなのに、
いつの間にか忘れていた。

夜、誰かの人生と比べてしまう日があってもいい。
大切なのは、翌朝そっと自分のペースに戻ってくること。
わたしはわたしの速度で、生きていけばいい。