夜の帰り道、車のフロントガラスにぽつぽつと雨が落ちてきた。
その日は仕事で小さなミスをして、上司に軽く注意された。
誰にでもあることだとわかっているのに、胸の奥がずっとチクチク痛む。  
「ちゃんとやってるつもりなのに、空回りしてばっかりだな」
そう思った瞬間、急に糸が切れたみたいに涙が出てきた。  
仕事も、人生も、どこに向かってるのかわからない。
心の中では「もう頑張れない」って、ずっと小さな声がしてた。
占いに電話した夜
その夜、なんとなくスマホをいじっていたら、
「電話占い」という言葉が目に入った。
正直、半信半疑。でも、誰かに話を聞いてほしかった。  
ちゃんと頑張ってるのに、報われてないように感じてるでしょう?
図星だった。声を聞いただけで、心の堰が切れた。
今は“頑張る”より“自分を労わる”ときですよ。
占い師さんのその言葉に、体の力が抜けていくのを感じた。
「頑張れ」じゃなくて、「もう頑張らなくていい」と言ってもらえたのは、
いつぶりだろう。
“答え”じゃなく、“整理”ができた
占いって、未来を当ててもらうものだと思ってた。
でもあの夜、わたしに必要だったのは「答え」じゃなくて「整理」だった。  
「どうしたらいいの?」という問いに、
「今のあなたはどうしたいの?」と静かに返してくれたことで、
少しずつ、自分の中の気持ちが見えてきた。  
仕事を辞めたいわけじゃない。
ただ、ちゃんと頑張れていない自分を責めていた。
“できてない”ことばかりに目を向けて、
“ちゃんとやってる自分”を見てあげてなかっただけだった。  
静かな夜に、心の声を聞く
人生の方向性に迷ったとき、
「誰かに話す」という行為そのものが、救いになることがある。  
占い師さんは、未来を決めてくれる人じゃない。
けれど、心の中を照らしてくれる“灯り”みたいな存在だと思う。  
ひとりで頑張りすぎている人ほど、
ときどき立ち止まって、自分の声を聞いてほしい。  
あの夜のわたしにもう一度会えるなら、こう言いたい。
「頑張れなくてもいい。ちゃんと生きてるだけで、もう十分だよ」って。

											

							
							
							
															
							
							
							
															
							
							
							
															
										
					
									